晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

台高 堂倉谷 沢登り 怒涛の本流遡行② 2007.09.22-23

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奥七つ釜の奇景

 

<メンバー>
山仲間

 

<山域>
台高

 

<コース>
大台ケ原P-日出ヶ岳-堂倉滝-中七つ釜-奥七つ釜-堰堤-地池谷出合(泊)-(本流遡行)-正木ヶ原-大台ケ原P

 

 岩を乗り越えてひょいと前を見ると飛び込んできたのがこの景色・・。ああ、ガイドブックやWEBの遡行記録で何度もみたやつだ。 荒れた岩盤上にまるでたこ焼きの鉄板の穴のような丸い釜がボコボコと空いている。七つ釜とはよく言ったものだ。
 
 T氏さんは盛んにこの釜に飛び込んで「人間洗濯機や~」と言っているが、さすがにこの気温では気が引ける。釜は深く底も見えないのでなんとなく不気味な感じ。

 

 いったりきたりを繰り返し写真を撮るが、なかなかいい具合に決まらない。結局、よく見るアングルに落ち着いてしまう。

 

 

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奥七つ釜

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ちょっくら登って見ますか

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奥七つ釜 上から

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チョットポーズ(提供T氏さん)

 

 奥七つ釜の余韻もそこそこに遡行を再開する。しばらく快適な滑床が連続し、歩きやすくなるが、谷底に太陽が届かない時間帯に突入し、気温も徐々に下がってきた。みんなの体力、気力、テンションも徐々に下がり始める。次に現れた15m斜瀑では泳ぎを嫌って速攻で巻きを選択。

 

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15m斜瀑布

 

 ヤブを漕ぎ、滝を巻き上がったあとはしばらく平流が続く。この頃になると口数も減り、黙々と歩き始める。段々寒くなってきた。

 

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ようやく平流に

 

 しばらく歩くとようやく堰堤が現れる。しかし、こんな山奥によく作ったものだといつも関心させられる。堰堤の上によじ登ったらほっとしたのか笑顔がこぼれる。

 

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やっと堰堤が現れる

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堰堤の上でにっこり(ほっとしている)

 

 堰堤の上流は例によって岩がぎっしり詰まったゴーロになる。ここから先はどこでも幕営できそうなので時間と相談しながら歩くことにする。足元に見慣れぬ花が咲いている。咲いている花に気がつくのも緊張が解けてきた証拠だろうか。

 

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堰堤の上はぎっしり埋まっている

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シラヒゲソウ

 

 やがて、堰堤以上に場違いな立派な林道にかかる橋が現れる。この時点ではなごんさんはエネルギー切れ寸前。目標の地池谷出会までは、ゴーロ歩きが続くだけなので林道を歩く事にする。

 谷から上がってふと山肌をみると夕日が斜面に当たってなんだか暖かそう。一日目の遡行が無事に済んだせいか少し安心する。

 

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林道と交差

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夕暮れ間近

 

 幕営は河原でするつもりだったが、再び河原に下りる気力も無く、少しでも平らな場所で寝たいという気持ちもあって林道の上の平坦地を幕営場所に決める。 はなごんさんがツエルト設営係り、私とT氏さんは米をといでご飯の準備と焚き木集め。

 

 今日の夕食は3人ともレトルトカレー(偶然!気が合う仲間です)。焚き火を囲んで今日の遡行の様子やその他ショーも無い話を取り留めなく話す。こういうのはいくつになっても楽しい。

 

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やっぱり焚き火がなくっちゃ

 

 私はカレー(ご飯一合)だけでは足りないので、マルタイ棒ラーメンも食べる。そのうち、前日の寝不足と疲労からこっくりこっくりしてしまう。ただ、一晩中燃やすだけの焚き木が無いので仕方なくツエルトに潜り込む。

 

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今夜のお宿

 

 空にはいつの間にか明るい月が出ていた。林道ならヘッデンなしでも歩けそうな程。月が明るいせいか星は少ない。幕営でこんなに晴れたのはずいぶんと久しぶりだ。

 

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月は昇り夜は更ける

 

 晴れているせいか気温はぐんぐん下がり、だいたい15℃ぐらい。今日はシュラフカバーだけなので、冬用の下着を着込んで、更に合羽を着、それでシュラフカバーに潜り込む。

 靴下を乾いたものに変えたおかげで寒さに震える事はなかったが、下地は薄いシート一枚なので背中が痛い。それでも思っていた以上に深い眠りについたようで、途中で目が覚めたのは3回だけ。

 明日はどんな滝や釜が待っているのだろうか・・、80%の楽しみと20%の不安を抱えながら、夢と現の間を行ったり来たりするのであった。