晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

台高 堂倉谷 沢登り 怒涛の本流遡行①  2007.09.22-23

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 迫力の7m斜爆とその上の30m斜爆


<メンバー>

山仲間

 

<山域>
台高

 

<コース>
大台ケ原P-日出ヶ岳-堂倉滝-中七つ釜-奥七つの釜-堰堤-地池谷出合(泊)-(本流遡行)-正木ヶ原-大台ケ原P



 ついにこの日がやってきた。今年の沢登りの集大成(まだ終わったわけでは無いが)として、台高での泊まり遡行に挑戦する。コースは関西一とも言われる大杉谷本流の堂倉谷。今回もはなごんさんとその相棒のT氏さんに連れて行ってもらう。

 

 前日の飲み会をノンアルコールで切り抜け、AM2時半起床、3時出発で集合場所の針テラスへ急ぐ。寝不足と仕事の疲労で体調は万全では無いが、緊張と興奮で眠気は無い。予定より20分早く到着し、はなごんさんとT氏さんを待つ。

 

 針テラスからはT氏さんの車に乗り込んで一路大台ケ原へ。ここで睡魔に襲われる。運転しているT氏さんには悪いな~と思いつつ、遡行時の体力を温存する為しばしうとうと。
 
 車はいつの間にか雲の上に出ており、まもなく大台ケ原の駐車場に到着するという。台高、大峰のパノラマに目を奪われているうちに大台ケ原駐車場に到着。

 

 身支度をして出発。日出ヶ岳経由で大杉谷への登山道を下降する。日出ヶ岳では真っ青な空と光る熊野灘が出迎えてくれた。とりあえず今日は雨の心配は無いだろう。雨の沢登りは気持ちのいいものではない。これで心の中の心配事がひとつ消えた。

 

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快晴の日出ヶ岳山頂

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熊野灘が見える


 ぶなや杉や石楠花の急斜面をひたすら下りていく。のんびり歩けば楽しい道なのかもしれないが、今日は遡行に費やす時間を少しでも稼ぐため、急ぎ足で下りる。このところ沢登りばかりで長時間歩行に慣れない膝が悲鳴を上げそうになる。途中、堂倉小屋で小休止。立派な避難小屋だ。

 

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堂倉小屋


 出発してから2時間を過ぎると段々沢の音が近づいている。谷はもうすぐそこだ。お腹がずいぶん減ってきたな~と思ったところで堂倉滝に到着。想像していた以上のすごい迫力に圧倒される。

 

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堂倉滝


 ここで沢装備にチェンジ。(ハーネスがお腹に食い込む・・)。堂倉滝は当然直登できないので左側から大きく巻くことになる。破損して通行止めの看板のかかったつり橋を渡り、次のつり橋の手前で斜面(階段)に取り付く。斜面の上にはモノレールがある。入渓はモノレールのレール沿いに少し進んだ所にFIXロープがあるので、それを頼りにガレガレのルンゼを下っていく。

 

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つり橋を渡って


 川原に降り立つと独特の湿り気を帯びた風が頬をなでる。滝で巻き上げられた空気が水しぶきと共に風となって谷中を吹いている。目の前には川幅一杯に広がる滑滝とその奥には轟音を轟かせている斜瀑が見える。あーついにやって来たんだ。

 

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迫力の滑~

 

 最初は7m斜瀑。とても流れの中を直登できる水量では無く、釜も大きく圧倒される。釜を泳いで右側に取り付く。水は冷たく一気に体中が引き締まる。
 

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 7m斜瀑とその奥の30m斜瀑

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大迫力


 続いて30mの斜瀑。これは右側を大きく巻く。うーん、どれもすごい。30m滝を越すと、一瞬流れが穏やかになったかのように見える。ここで一息ついて心を落ち着ける。しかしすごいところへ来てしまったものだ。

 

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30m斜瀑

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癒される~

 

 ひとつひとつの滝それぞれがスケールが大きく、泳いだり、へつったり息をつく間も無い。次に現れた10m斜瀑は曲線がとても美しく、自然の造詣のすごさにしばらく見とれてしまう。

 

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泳いでとりつくはなごんさん

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10m斜瀑 曲線が美しい


 いつまでも見とれてばかりではいけない。トップのT氏さんが右側を直登りし、後続を確保。私も緊張しながら登っていく。鈴鹿の沢では落ちてもドボンで済むが、ここではどこまで流されるか判らない。緊張するなー。

 

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トップのT氏さんがチャレンジ

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解除してもいいの?

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水中写真


 ここから先は「中七つ釜」と呼ばれる滝と釜がひっきり無しに現れる見せ場のひとつ。滝と釜の競演がすばらしいが、緊張の連続で息もつけない。常に体のどこかに力が入っているようだ。

 

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へつりも慎重に


 ようやく中七つ釜を超えると少しは息をつく余裕が出てきた。うーんいいなー。やがて、両側を岩で閉ざされた門のような滝が現れた。この先に、この谷最大の見せ場である「奥七つの釜」があるという。早く見たい~。 

 

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こういうところでは一息つけます

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奥七つ釜の門のような滝

 

 滝の右側を乗り越えて、いよいよ奥七つの釜に。どんな光景が待っているのか?

 

続く