晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

御嶽山 ライチョウと雲上散歩 2007.06.02

御嶽山 雲海

向こうまでなんだか歩いていけそうだな

 

<メンバー>
単独

 

<山域>
御岳山

 

<コース>
田の原-王滝頂上-剣が峰(ピストン)

 

 5月はなんだかんだで3回山での泊まりがあった。そのせいか、身の回りの雑事が少しずつ溜まってきてコリャいかん、てな感じになってきた。それでもやっぱり山へは行きたい・・。

 先週は距離を稼ぐトレーニングだったので、今週は高さを稼ごうと考えた。とはいっても、なるべく簡単に済ませたいので、コースタイムの短い御岳山の田の原コースへ行くことにした。

 

 仕事を早々に引けて、夜の早い時間には田の原の駐車場に着こうと思ったが、出かける前にドタバタして、結局、田の原着は12時半。足を延ばせない車の後部座席に丸まって寝ようとしたが、寒くて寒くてなかなか眠れない。シュラフを持ってこなかったのは失敗だった。

 

 寝たのか寝ていないのかわからない状態だったが、腹ごしらえを済ませ、何とか5時半には行動開始。鳥居のすぐ側にも雪が残っていた。どうりで寒いはずだ。
起きた時には雲が気になったが、御嶽山が何とか姿を現してくれた。

 

田の原駐車場より

うーん でっかい

 

 参道のような砂利道を過ぎると小さな観音様が奉ってある。この先からは雪が結構残っている、久しぶりの感触と、まだ起ききっていない体の為、ふらふらしながら登って行く。赤っぱげあたりまで来ると空もすっかり明るくなり、気持ちのいい景色が開ける。

 

大江観音

赤っぱげ付近

 

 歩き初めて30分を過ぎるが、どうも体が重い。疲れているからなのか、寝不足なのか・・。GPSの気圧計は735hpaを指している。平地の空気の70%しかない(その影響か?)。

 金剛童子のあたりで防寒着を脱いでいると、後発のカップル(ご夫婦?)にあっさり抜かれてしまう。

 

金剛童子

 

 何とかついて行こうとするが、やはり体が重い。写真を撮りながら歩いていると先行者との距離がどんどん遠くなる。(鈴鹿縦走でついた自信が・・・)
 
 ふと、前を見ると先を歩いていたカップルの方が手招きをしている。近づいて行くと指を口にあてて「しー」のポーズ。前のハイマツを見るとライチョウカップルがいた。まさか、今日見ることが出来ると思っていなかったのでラッキー。

 

ライチョウ(♂)

 

 ひとしきり写真を撮ると周りがガスってきた。斜面を這い上がる雲が追いついてきたのだろう。しばらくは雲と追いかけっこをしながら、ガスったり晴れたりを交互にしながら高度を上げて行く。富士見岩を過ぎるといつの間にか雲海の上に出ていた。

 

雲が駆け上がる

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富士見岩

いつの間にか雲海の上に

 

 上を見ると王滝頂上山荘がだいぶ大きくなっている。目の前には雪渓が横たわっていて結構な傾斜だが、先行者のトレースがしっかり着いているので、アイゼンは着けずキックステップで上がる。

 

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雪渓を登る

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雪渓から下を眺める

 

 ふいにカエルの鳴き声のような奇妙な音を耳にした。あたりを見渡すと、岩の上にきれいな雄のライチョウが首を伸ばしている。見張りでもしているのだろうか。そーっと近づき写真を撮る。

 

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縄張りを見張るライチョウ(♂)

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雲海とライチョウ

 

 気がつくと、目の前には雲海が本当の海のように広がり、南アルプスの山々の頂が島のように雲の上に顔を出している。今日はこの景色を見るために来たようなものだ。しばらくボーッと景色を眺める。

 

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雲海①

 

 王滝頂上直下の斜面を登りきると神社にでた。まだ半分近く雪で埋まっていてさすが3000m峰だ。去年6月の中旬に来たときは雪はすっかり無かったのに。神社を過ぎ、八丁だるみと呼ばれるところを歩く。剣が峰がまだまだ先に見える。

 

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王滝頂上神社

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火山ガス

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八丁だるみより剣ヶ峰

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王滝頂上を振り返る

 

 剣ヶ峰頂上の御岳神社奥社への階段はこれまた雪に埋もれている。雪の斜面を登りきると神社の境内にでるが、そこが剣ヶ峰、御嶽山の頂上だ。ここに上がれば乗鞍や北アルプスが見渡せる。

 

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御岳神社奥社

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乗鞍と北アルプスの山々

 

 先に頂上についていたカップルは和やかに談笑中。こちらは息をぜいぜい言わせながら登ってきたのに・・。案の定、写真撮影を頼まれるがここは笑顔で引き受ける。

 

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雲上デートのお二人

 

 頂上からは360°の大パノラマが広がり、自分が神様になったようなそんな気にさせる。火口の中はまだびっしり雪が詰まっており、お鉢めぐりをしたようなトレースは見えない。

 シリセードで火口へ降りて行き、二の池を回ってこようかと、強い誘惑に駆られるが、中がシャーベット状に解けていたらいやなので断念する。

 

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二の池

 

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頂上よりパノラマ(北アルプスから南アルプス) ※クリックで拡大

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頂上からのパノラマ(御嶽山カルデラ) ※クリックで拡大

 

 何気無く携帯電話を見たら、アンテナが3本立っていた。田の原から直線距離で2km程度なので当たり前か。家に電話をかけようと思ったら、不穏な番号(会社関係)からの不在着信・・・。

 あっという間に現実に引き戻され、慌てて下山することに。(後で確認したら大したこと無くてホッ)

 

 下山は田の原まで1時間半ぐらい。鈴鹿で御在所に登るくらいのコースタイムだ。コレくらいで3000mの景色が眺められるのは何とも不思議な気分。こんどは仲間を連れてきてみよう。

 

 王滝村へ下りる道路では、自転車のヒルクライムレースをやっていた。通行止めで1時間弱、見物していたが、のんびりしてなかなかいいもんだ。ぽかぽかの太陽とカッコウの鳴き声に、思わずコクリコクリと居眠りをしてしまった。