上高地 朝靄と樹氷の幻影 2007.02.25
<メンバー>
夫婦
<山域>
<コース>
このところ妻を置いて山に出かけることが多かったので、そろそろ点数を稼いでおかなくてはいけない。また、すっかり山とご無沙汰の妻を連れ出して、春の山に一緒に行けるようにしなくては・・。
そう考えて選んだ行き先は「冬の上高地」。少し前までは登山家や写真家だけの秘境のように思っていたが、釜トンネルが新しくなった為か、スノーシューが普及した為か、スノーシューハイクと称して多くの人たちが入っているようだ。さっそく乗鞍高原のペンションに予約をする。
今回利用したペンションはお花畑。写真を撮る為に上高地へ入る人が良く利用するそうで、釜トンネルまで早朝の送迎もOKの宿。朝5時半に宿を出発し、真っ暗な中、釜トンネルに到着。空には星が出ていて今日の天気が良いことを物語っている。
ペンションに泊まるのが10代の頃からの夢だったといってなかなか眠らなかった妻も、眠い目をこすりながら歩き始める。
トンネルはきれいに舗装されていて、路面の凍結も無し。おまけにライトがついているのでヘッデンも不要。道路としては急な坂道を20分も歩くとトンネルの出口に。
霧氷のついた森の向こうにいきなり穂高連峰が出迎えてくれた。今日は雲ひとつ無い快晴のようで、遠くまで良く見渡せる。
いきなり穂高連峰が出迎え
凍った道路に気をつけながら歩くが、雪はほとんど無し。大正池ホテルの横から川沿いの道に下りると、梓川に朝靄が沸き立っている。おお、良く写真とかで見た風景だ。今、自分の目の前に同じ光景が広がっていると思うとなんだかうれしい。
凍った道路を慎重に歩きます
朝靄が沸き立つ
霧氷の森
既に数名のカメラマンが景色のいい場所に陣取っていて三脚を立てファインダーを覗いている。この人たちはあまり歩かないのでさぞかし寒いだろうなーなんて思ったりする。
カメラマンたち
そのうち、朝日が山の頂を照らし始めると、あたりも段々明るくなってくる。焼岳が大正池に写り、さながら「逆さ焼け」になっていた。風が無いので水面も鏡のよう。ただ、非常に寒い。
焼岳
朝日があたる
ここにもカメラマンが
景色を眺め、写真を撮るがとても寒くて、カメラのバッテリーがへたってきた。懐で温めながらの撮影となる。お腹が空いてきたので、宿で作ってもらった弁当を食べようと河原に腰を下ろすが、寒さで手が震えて橋がうまく使えない・・。ゴハンもみるみる凍ってきた。
こりゃいかんと思い、朝食を早々に切り上げ歩き出すことに。ザックにつけた温度計はマイナス15℃をさしていた。
気温はマイナス15℃
寒さにガタガタと震えながら朝食を済ませ、再出発。風に当たる頬が冷たく、しばらく無言で歩くことになる。田代池を過ぎる頃になると朝日が谷間にも差し込んできて、急に暖かくなる。霧氷がキラキラと輝き、辺りの景色が急に鮮やかになってきた。
太陽が顔を出し始めた
一旦、樹林帯に入った後、再び梓川沿いに出ると、川の側にベンチがならびバスターミナルが近いことがわかる。霧氷のついた唐松が並木道のように目の前にならんでいる。暖かくなってきたこともあり、足取りも軽くなってきた。穂高連峰も見える角度が徐々に変わってくる。
霧氷の並木道
建物が見えてきた
歩き始めて2時間ほどでバスターミナルに到着。夏の喧騒が信じられないくらいの静けさ。テントを張っている人たちがいた。ここでトイレを済ませ、いよいよ河童橋へ。
ひっそりとしたバスターミナル
河童橋に着く頃には青空が広がり、目の前に穂高連峰がバーンと広がっている。絶景、絶景。ずいぶん前、初めて上高地に来た時の感動を思い出す。あの時は「日本にもこんなきれいなところがあるんやなー」と思ったものだ。
焼岳方面
河童橋では既に数グループが記念撮影をしていた。冬の上高地といえば、隔絶された厳しい世界をイメージしていたが、常に周りにはハイカーがいて、踏み跡はしっかりしている。山歩きというよりも観光地で散策をするといった印象は拭えない。この辺が少しイメージと違ったかなという感じ。帰路はぽかぽかの陽気の下、往路の対岸を歩いて釜トンネルに向かう。
ぽかぽかと暖かい
田代橋で再び左岸に戻ると、ひっきりなしにハイカーとすれ違う。この時間になるとスノーシューハイクのツアー客が多いようだ。スキーウエアーに揃えのスノーシューのグループが多い。早い時間に来ないと喧騒に巻き込まれることになる。
青空に穂高
焼岳も見納め