晴山雨読記 Vol2

沢登り、雪山、時々山登りの備忘録

野登山 山上の古寺を訪ねて 2006.02.12

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鈴鹿の古刹 鶏足山野登寺

 

<メンバー>
山仲間

 

<山域>

 

<コース>
坂本棚田~野登寺参道~夢創庵~野登寺~野登寺参道~坂本棚田

 

 バードウオッチングのお誘いがあった。その日は御池岳の翌日で結構疲れていたが、お産でしばらく山を休んでいる仲間も来るという。それなら「歩き」は全くないだろうと思い、夫婦2人でドタ参した。

 

 しかし、集合場所にはカッパにスパッツという完全装備のメンバーがいる。恐る恐る行程を聞くと、野登山まで歩きながら野鳥観察をし、途中の「夢創庵」という場所で車メンバーと合流するという。前日の疲労が色濃く残っている妻は車に乗せ、私だけ歩きメンバーに加わることにした。

 

 出発地点の坂本集落には立派な棚田がある。山のふもとの農村というなんだか懐かしいような風景の中を歩いて行く。

 

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棚田の横を歩いて行く

 

 登山道は山頂にある「鶏足山野登寺」の参道を上がって行く。傍らに石仏が座って我々を眺めている。

 

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参道にある石仏

 

 野登山は鈴鹿の中でも南にあり、積雪は無いと思っていたが、道にはうっすらと雪が積もっている。防水対策をまるっきり持っていないので少々不安になる。

 

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雪が積もっている

 

 急坂を足元に注意しながら歩いて行くと、不意に視界が広がり大きな風車が現れた。近くに夢創庵があり、NPOとして風車の試験をしていると聞くが、せっかくの強風にも風車は回っていない。建物にも人気が無く、なんの為の風車なのかさっぱり判らない。

 

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風車?

 

 夢創庵で車メンバーと合流。見晴らしの良いテラスで豚汁をご馳走になる。思いの他寒いのでありがたい。あと、バレンタインも近いというのでチョコケーキも頂く。思わぬ山歩きだったが思わぬご馳走にありつけて満足、満足。体が温まったあと、野登寺に向って再び歩き出す。
 

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夢創庵からの眺め

 

 周りの風景が徐々に変わり杉の巨木が増えてきた。鈴鹿では普通見ることが出来ないほどの巨杉の群れは、ここが昔からの聖地だったことをしのばせる。

 

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巨杉が増えてきた

 

 程なく広い平坦地にでるとそこは境内の入り口だった。真っ白な雪のなかに寺への入り口を示す石門がある。境内の中は巨杉に整然と並び、石仏が静かに座っている。登山者はだれもおらず静かな空間が広がる。

 

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雪に覆われた境内入り口

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青空の中にそびえる杉

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巨杉が迎えてくれる参道

 

 野登寺は千年の歴史を持つ古刹だが本堂は平成10年の台風で損傷した。現在建っているのは最近になって修復された建物だ。昔からの部材が今も残されている。
 

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野登寺本堂(伽藍)

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見事な彫刻の施された梁

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この杉も千年の歴史を持っているのだろうか
              
 標高800mを越える山上にこのような立派な寺があるとは思わなかった。思わぬ景色にしばらく見とれていたが、寒くなってきたので下山をする。ちなみにこの寒さの為、本来の目的である野鳥観察は思うように行かない。寒いと鳥たちも棲みかで震えているのだろう。

 

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鈴鹿の名峰 仙ヶ岳

 

 再び、坂本集落に戻る。時間があるので棚田周辺で鳥探しを行う。晴れていた空も次第に曇り、気温も下がって来たように感じる。野鳥観察にはますます不利な状況だが、メンバーの一人は○○万円もするスコープを引っさげてやる気まんまんである。

 

 しかし、寒さのせいかやはり鳥は現れない。ようやく、もずが一羽日なたで太陽を浴びているのを見つけた。スコープを使い、撮影に成功。愛らしい小鳥の姿になんだかほんわかしてくる。

 

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再び坂本棚田へ

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棚田の風景

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今日の収穫 もず♀

 

 山歩きも鳥観察も思わぬ寒さと雪のせいで予定が狂ったが、野登寺の静かなたたずまいがとても印象に残った良い山歩きだった。久しぶりの仲間にも会え、かわいい小鳥も見ることが出来た。色々な意味で出かけてきてよかった。そんな一日であった。