中央アルプス 千畳敷カールからサギダル尾根 2020.12.20
核心部登攀中
<メンバー>
鈴鹿ハイキング倶楽部 6名
<山域・形態>
中央南アルプス・積雪期登山
<コース>
RW千畳敷駅(10:00)~サギダル尾根~サギダルの頭(14:00)~極楽平~RW千畳敷駅(14:30)
雪の登攀をやっておこうと中央アルプス、千畳敷のサギダル尾根を再訪。ここは2年前の3月に登った事がありますが、その時はそれ程難しいとは思わなかった記憶があります。今回は6人のパーティーで挑戦、前回経験者は私となおちゃん。
2018年の記録
天気は風が強いものの、晴れ間も見えるという予報でしたがRWを降りるとガスガスで稜線が見えません。一般道へコースを変更しようか迷いましたが、みんな行きたそうだったのでとりあえず取り付いて見る事にします。
ガスガス・・
新雪が50cm以上積もっています。二人Pが先行しているので、そのトレースを辿りますが少しでもトレースを外せば腰まで沈んでしまいます。
新雪は50cm以上
なべちゃん先頭でガシガシ進んで行くと先行Pに追いついてしまったので、先頭を変わります。なべちゃん、いさおさんの長身コンビに道を切り開いてもらいます。
先頭交代で頑張る
40分程登り岩稜が見えたので、少し安定したところでロープを出します。前回は取り付き点の窮屈なところでロープを出して絡ませてしまいました。2年で少しは進歩したでしょうか。
岩稜が見えた
角度が立って来た
取り付き点でセルフビレイを取って登攀スタート。今回は、なべ、いさお、おりえのAチームと、たろー、なお、りーのBチームに分かれて登ります。Aチームのリードはなべちゃん。雪を搔き分けながらの登攀開始です。
1ピッチ目スタート
岩に新雪が乗っている状態なので難しく、なべちゃんのロープは中々伸びて行きません。我々の後に到着したパーティー(最初先頭を歩いていた二人組)は我々を見て早々に撤退していきました。
なべちゃん、苦戦中
なべちゃんがようやく終了点に辿り着いたので、次はおりえちゃんがアセンダーで登ります。やはり難しいようで苦労中。Bチームの待ち時間は1時間を超え、体が強張ってきました。
天気も徐々に悪くなっておりBチームは撤退しようかとも思いましたが、初めてのメンバーもいるので登攀継続。Aチーム最終のいさおさんがスタートしたすぐ後にBチームリードのなおちゃんがスタート。
Bチームも続く
Aチームは全員終了点まで登り切りましたが、なおちゃんがは終了点直下の核心部で苦戦中。大丈夫かな~と思っていた所で何とフォールしてしまいました。
幸い近くにプロテクションを取っていたので、落下距離は大した事無い様です。下からでは状況が分かりませんでしたが、すぐに「助けて~」の声が。自力で登り返す事が出来ないようなのでロープを固定し救出に向かいます。
リードが引いていったロープを頼りに救出に行くのはこの前やったクライミングレスキューの経験が役に立ちました(でも焦ってセルフを取らずに登ったのは反省)。最終プロテクションの所まで来ると、なおちゃんは3m程下で体を横にして宙吊り状態、意識を失いそうになっていました。大声で呼びかけ、伸ばしたスリングを掴んでもらいます。
しかし、片手で人間一人を引っ張り上げるのは不可能で、どうしたもんかと考えていたら先行していたなべちゃん、いさおさんが戻ってきてくれました。
しっかりした支点からなべちゃんをローワダウンでなおちゃんの近くまで下ろし、救助用のロープをハーネスに固定。いさおさんとなべちゃん、私の3人がかりで何とか引き上げる事が出来ました。
なおちゃんが終了点まで上がったところで、ようやく一安心。自力で歩ける様だったので、このままサギダルの頭まで上がってもらう事にします。
私も終了点まで何とか登り、下でずっと待っていたリーちゃんに登ってきてもらいます。この間、おりえちゃんは状況が分からず、ずっと稜線で待っていてくれたようです。
後続を引き上げるなべちゃん
待ちくたびれたおりえちゃん
りーちゃんは核心部登攀中
稜線は相変わらずのガスで風もビュービューだったので極楽平から千畳敷に戻ります。改めてなおちゃんに怪我が無いか確認しますが大丈夫のようです。
稜線が強風&ガス
稜線からはあっという間にRW駅に到着。暖かい駅舎に入るとようやく生きた心地がしました。駅にいる他の登山者に聞くと、浄土乗越しから木曽駒までも強風で行けなかったようです。
下りて来ると全貌が見えた
今回、全員無事に下山出来ましたが大いに反省しないといけない山行でした。
まず、天候判断が甘かったです。前回は余裕を持って登れたので、少々条件が悪くても何とかなるだろうと甘く見てしまいました。強風下では体の動きも悪く、精神的に焦ってしまい無理な登攀からフォールを招いてしまいました。
幸い、落ちてから大きな負傷しなかった事、先行していたAチームが声を聞いて戻ってきてくれた事で大事に至らず済みました。3人だけの単独チームだったらどうなっていただろうと考えてしまいます。あと、やはりセルフレスキュー技術をもっと磨かなければいけないとも感じました。
今回の失敗を糧に、さらに山行の安全性を高めて行かなければと思います。参加の皆さん、本当にお疲れ様でした。